【Doctors File】掲載記事

高松市内でも、特に人口の増加が著しい住宅地域。このエリアを貫く大通り沿いに、「サンシャイン歯科」はある。医師への憧れから歯科医師の道を歩み始めた松原弘樹理事長は、常に患者のニーズを考え、早くから訪問歯科診療に挑戦。また予防歯科の重要性にも着目し、予防歯科を広めたい一心で、県内四方に分院を開院してきた。同院では「子どもがいると通院が難しい」という子育て世代の声を受けて、広々としたキッズスペースと無料の託児室を開設している。海外進出など、さまざまな経験を糧に歯科医療の道に邁進する松原理事長から、開院に至るまでの道のりや予防歯科にかける想いを聞いた。

(取材日2022年10月27日)

知識と経験を積んで開業。常に患者のニーズを考える

歯科医師をめざした理由を教えてください。

もともとは医師になりたかったんです。これまで何度も映像化されている有名な医療ドラマを見て、教授の総回診などに憧れまして。ただ、医師を目標として勉強するうちに、歯科医師にも興味が湧いてきたことから、九州歯科大学に進学しました。大学では口腔外科分野を専門とし、教授の勧めもあって大学院まで進んだんです。大学院では口腔外科の臨床研究と、口腔病理学の基礎研究を行いました。一般の歯科医院では研究できないような症例も経験できましたから、院へ進んで良かったと思います。口腔外科というのは、首から上の領域をほとんど扱う分野です。医科と似ている部分もあり、研究の興味は尽きませんでした。

大学院修了後は、関東各地で勤務医をされていたそうですね。

埼玉と千葉、そして東京に病院を持つ大型の医療法人で、勤務医として多くの経験を積ませていただきました。大学院修了後は研究を続けるかどうか迷ったんですが、臨床に興味があったことと、一般の患者さんと接した経験がなかったことを理由に、勤務医の道を選びました。2年ほど経験を積んだ後は、千葉の病院で分院長を3年ほど務めています。千葉の病院があった房総地域には介護老人保健施設が多く、ニーズがあるのではと考えて、当時はまだ一般的ではなかった訪問歯科診療を提案しました。昼休みの時間などを使って始めてみたんですが、これもいい経験と知識を得ることができました。

いつ頃から開業を意識されたのでしょう。

関東に行った時点で、開業の意志はありました。開業をする際に必要な、一般歯科と経営の知識を学ぶために勤務医になったようなものですから。最初に開業したのは別の歯科医院でしたが、当時たまたま父が老人会の会長をしていたこともあり、経験を生かして訪問歯科診療もすることにしたんです。しかし実際に始めてみると、必要な材料や機械がとても不足していました。二十数年前ですから、持ち運びできる機械もまだ少なく、訪問歯科診療の壁に当たってしまったんです。そこで考え方を変えて、思いついたのがクリニックに患者さんを送迎することでした。歯科医院と患者さんの自宅を車で往復するため、弟に運転手を頼みました。これが好評で、高齢の患者さんから若い患者さんまで、クチコミが広まっていったんです。

子どもがいても通いやすい歯科医院をめざして

こちらの歯科医院で注力されているのは、予防歯科でしょうか。

1990年代半ばから、歯科医師界隈で8020運動が広まってきました。今ではもう一般的ですが、80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという運動ですね。そこから徐々に予防歯科の考えが広がり、私も予防歯科に取り組みたいと思いました。当初は最初に開業した別の歯科医院で予防歯科を始めたのですが、治療が終わると来院しなくなる患者さんがほとんどで、定期的に来院する患者さんは全体の5%ぐらいだったんです。しかし、根気強く続けることで少しずつ形にしていき、高松市内にも予防歯科を広めたいという思いで、東にやくり歯科、西にサンクリーン歯科、南に当院を構えることにしました。歯科医院を分散させたのは、患者さんにどこか通いやすい歯科医院を見つけてもらえたらと考えたからです。

院内はキッズスペースが広いですね。

そうですね。実は、当院はもともとインプラントや審美歯科といった自費診療をメインに取り扱う予定だったんです。この辺りは比較的若い世代の方が多く住んでいる地域ですし、転勤族と呼ばれる働き盛りの方も多く住んでいらっしゃいますから。しかし実際の患者さんはファミリー層が多く、お子さんを連れて来院される方がとても多かったんです。近くにある小学校も増築して、あっという間にマンモス校になりました。ですので慌ててキッズスペースを広げて、お子さんが通いやすいような環境を整えたんです。色使いや本や小物をお子さん向けに充実させて、遊び感覚で来院できるような工夫をしています。歯科医院は嫌な場所というイメージを払拭したかった部分もありますね。今では当たり前のキッズスペースも、当時は珍しかったんですよ。開業から20年以上たった現在では、以前よりも多くのご家族に利用していただいています。

無料の託児室があるというのもうれしいです。

開業当時、地域の育児サークルで歯のセミナーを開くことがあったんですが、そこで「子どもがいると自分の歯科治療も満足にできない」という声をたくさん聞いたんです。同時に、お子さんの予防歯科へのニーズが高いことを知り、キッズスペースだけでは力不足だと感じて、託児室を配置することにしました。「子どもがいると歯科医院に行けない」のであれば、当院がお子さんを預かればいいと思ったんですね。さらに短時間とはいえ、お子さんの安全を預かるわけですから、子どものプロが必要だと考えて常駐の保育士も雇いました。おかげさまで、託児室は好評ですね。これからもたくさん使っていただきたいです。

歯科医療への熱意は、海を越えて

海外で歯科医院を運営されていた経験もあると伺いました。

はい。ベトナムで歯科技工士をしている友人から、「ベトナムに大きなショッピングモールができるから、その開業を手伝ってくれないか」と誘われたことがきっかけでした。その友人の話によると、ベトナムの歯科クリニック事情は決して良いものではないそうで、もしかしたら自分が今まで積み重ねてきた知識や技術が生かせるのではないかと思い、自分のクリニックを開業する決意をしました。その当時は、月に1度は出張でベトナムに行っていましたよ。今はもう別の人に引き継いでいて、私は関わっていないのですが、今思えばいい経験をさせていただきました。ベトナムで日本人が携わった歯科医院は2、3ヵ所しかなかったはずです。もちろん異国での開業は大変ではありましたが、今思えばその苦労は決して無駄ではなかったですし、文化の違いを知ることもできて、楽しい思い出となっています。

今後、力を入れていきたい診療は、やはり予防歯科でしょうか。

すべての診療は、予防歯科につながっていると私は考えています。例えば審美歯科であれば、きれいにしたら終わりではなく、そこからケアを続けていくことで歯の美しさを保っていきます。きれいで美しい歯でいることは、虫歯や歯周病を予防することにもつながります。歯列矯正も、歯並びを整えることで歯磨きがしやすくなりますよね。メンテナンスがしやすいということは、正しいお手入れを続ければ、虫歯や歯周病になりにくくなるということです。われわれの願いは、皆さんが歯の病気で苦しむことなく、良い生活を続けていけるようになること。一度治療した歯は、二度と治療しなくても済むように、当院で予防歯科を続けるお手伝いをさせていただきたいです。

今、読者に伝えたいことはありますか。

昨今は新型コロナウイルスの影響で、歯科医院全体にマイナスイメージがついたのではと考えています。歯科診療は患者さんとの距離が近く、飛沫も散るので新型コロナウイルスに感染しやすいと、メディアなどで言われてしまったからです。確かに歯科医院では歯科医師と患者さんの距離が必然的に近くなります。飛沫も散ります。だからこそ、われわれは感染予防対策に神経を尖らせてきました。それは新型コロナウイルスが流行するよりも、ずっと前から行ってきたことです。新型コロナウイルスが流行してからは、より一層、予防対策に取り組んでいますので、どうぞ安心してご来院ください。歯のことで何か悩んでいることがあれば、お気軽にご相談いただけたらと思います。