関東に行った時点で、開業の意志はありました。開業をする際に必要な、一般歯科と経営の知識を学ぶために勤務医になったようなものですから。最初に開業したのは別の歯科医院でしたが、当時たまたま父が老人会の会長をしていたこともあり、経験を生かして訪問歯科診療もすることにしたんです。しかし実際に始めてみると、必要な材料や機械がとても不足していました。二十数年前ですから、持ち運びできる機械もまだ少なく、訪問歯科診療の壁に当たってしまったんです。そこで考え方を変えて、思いついたのがクリニックに患者さんを送迎することでした。歯科医院と患者さんの自宅を車で往復するため、弟に運転手を頼みました。これが好評で、高齢の患者さんから若い患者さんまで、クチコミが広まっていったんです。